妊娠中に訪れる、つわり(悪阻)
個人差がありますが、胎盤ができる安定期に入る頃まで、寝ても覚めてもとにかく気持ち悪いという、母体にとって大変辛い期間です。
このつわりの原因について、
「ケトン体」が大きく関係しているのはご存じでしょうか?
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ケトン体とは、すごーく簡単に説明すると…
人間の2大エネルギー産生回路は「糖質」と「脂質」で、
糖質から作られるエネルギー源=ブドウ糖
脂質から作られるエネルギー源=ケトン体
ブドウ糖はすぐ枯渇してしまう、いわば焚火のような小さなエネルギー(中毒性もある)ですが、
ケトン体は体脂肪さえあれば何日も使える、いわば工場のように大きく安定したエネルギーです。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
一般的には、つわりの期間にケトン体の数値が高くなると危険!とされていて、重症化すると入院、点滴といった処置が取られますし、
今まで医療業界では「ケトン体は悪いもの」というのが共通認識でした。
しかし近年、今まで悪者とされていたケトン体が胎児にとって重要なエネルギー源であることがわかってきたのです。
『ケトン体が人類を救う』を書いた宗田哲男先生は、
宗田マタニティクリニックの院長先生。
ケトン体に注目した「糖質制限+たんぱくリッチ食」の指導で、
不妊治療はもちろん、妊娠中~産後まで母子ともに健康になる食事法を提案しています。
この本、とても参考になるのでオススメです。
宗田哲男 著
赤ちゃんはケトン体で生きている
宗田先生は、江部康二氏らとともに「胎盤・胎児・新生児のケトン体が高値であること」の論文を発表しています。
今まで「胎児、新生児はブドウ糖で生きている」とされてきましたが、
近年、妊娠6週であっても胎児のいる環境には大量のケトン体が存在すること、
胎盤にはなんと基準値の30倍ものケトン体があって、赤ちゃんはケトン体で生きていることの可能性が明らかになりました。
また、出産時の産婦、赤ちゃんと母体をつなぐ臍帯血、出産から数か月たった赤ちゃんにも、高い数値を示していたそうです。
このことから、
「ケトン体は命の誕生、育成において必須で欠かせないものだからこそ高値にあらわれるもの」
と考えられます。
つわりの原因、メカニズム
本来ケトン体は、ブドウ糖を断って「飢餓状態」になったときに自然に発動するエネルギーです。
妊娠初期=胎盤を作るときにケトン体が大量に必要なのにも関わらず、糖質に偏った現代の食事ではうまく作ることができません。
なので、ほとんど何も食べられない状態(=飢餓状態)にすることで強制的にケトン体を作り出そうとします。
これがつわりのメカニズム。
つまり…
つわりは母体がケトン体を作るために、起こるべくして起こっていたのです!
いけざわレディースクリニック 院長先生の池澤孝夫先生も
「つわりの原因は母体がケト適応できていないこと」と述べています。
ケトン体は、低インスリン状態で余った脂肪酸から作られる、胎児に必要なエネルギー源。
ところが、妊娠前からこのエネルギー回路がうまく回っていないので、食べられない状況(=つわり)が起こることで、低インスリン状態にさせられる、と。
(低インスリン状態とは、つまり糖質制限をした状態のことです)
つまり、食べても低インスリン状態にすればよい、ということなので
妊娠4~5週から「つわりが楽になる食事法」をしておけば、ほとんどの方はつわりがないか、軽く済むそうです。
ただ、嘔吐が強くなり食べることが出来なくなってからではなかなかむずかしい、とも言っています。
なので…
つわり予防として、妊娠前からケトン体を作れる体を準備しておくことが大事です。
バター入り味噌汁がおすすめ!
宗田マタニティクリニックのブログに、
「バターを食べるとつわりが軽くなる」
との記事がありました。
「妊娠したら、つわりが起こる前くらいに脂肪を食べ溜めすると、つわりが軽くなる」そうで、
中でもバターが良いそうで、味噌汁にバターを入れるのをおすすめしていました。
たしかに、これなら簡単に摂取できて、しかもおいしいですね(^o^)
ただし、無塩バターにしないとしょっぱ過ぎるかもしれません!
どうすればケトン体を増やせるか
この本もオススメ!
おちゃずけ 著
宗田哲男 監修
ケトン体を増やすには…
①糖質を控える
②タンパク質の多い食事
それと、良質な脂質も大事!
MCTオイルやココナッツオイルでもケトン体が増えます。
参考記事
宗田先生によると、不妊の原因も
・糖質過多
・低タンパク
・鉄不足
ということなので…
妊娠前からケトン体を増やす食事を心がけていれば、
妊活~つわりの時期~妊娠中~産後まで、
母体も、そして赤ちゃん(胎児~新生児)も、ずっとエネルギーが安定して健康でいられるということですね!
ちなみに、心の問題も栄養不足が原因なので、
産後うつなども予防できます!
ちなみに…
糖質過多の現代は、「新型栄養失調」の人がすごく多くなっていますが、
ケトン体には
・糖尿病の予防
・動脈硬化の予防
・アルツハイマー病の改善
・ガン細胞の抑制
などなど、さまざまな可能性があります。
エネルギー不足に陥る原因となる糖質を控えて、必要な栄養をしっかり摂ることは、
ママや赤ちゃんのみならず、すべての人にとって大切なことなのです。
本当に必要な栄養をしっかり摂ろう
以上、一気にお伝えしたのでむずかしいところもあったかもしれませんが、つわりの原因と改善策、しっかり伝わったでしょうか?
今回は妊婦さん向け、中でもつわりに焦点を絞ってお伝えしましたが、
糖質制限・たんぱくリッチ食によってケトン体を増やせば、
妊娠~出産、産後を元気に過ごせるだけでなく、あらゆる病気のリスクも下げることが期待できます。
ケトン体のことや、具体的な食材・献立などまではお伝えしなかったので、
ご質問などある方はお気軽にお問い合わせくださいね(^-^)
今日も最後までお読みいただきありがとうございました☆
トラックバック URL
https://soyo-soyo.jp/15786/trackback