《旅エッセイ》コロナ禍のイタリア留学 7:ごはん事情(自炊編)

 

 

 

前回に引きつづきごはんの話、自炊編。

 

留学中はもちろん外食もしたけど、観光客ではないので基本的にいつも自炊。

もともと料理はきらいではないし(得意でもない…)、旅行ではなくその土地になじんで「暮らす」のが目的の1つだったので、スーパーで買い物をして現地の食材で料理するのは毎回とても楽しかった。

とくに、着いたばかりの頃は出かけることもむずかしい状況だったので、勉強とごはんがすべてだったと言っても過言ではない。

 

 

イタリアに着いてから初めて料理したのは、具だくさんのトマトスープ。

 

野菜は前回も書いたように味が濃い。青臭さや独特の香りもしっかりあって、野性味がある。

そして、だいたいどの野菜も固い!

これには最初驚いた。日本のより水分が少なく密度が濃いようで、煮込み料理にはピッタリだった。

 

個人的には葉物が好きで、中でもちぢれキャベツが本当においしくて、日本にはない(あっても味が全然違う)ので今でも常に恋しく思っている。

 

お肉は、日本のまるで芸術品のように切り揃えられた薄切り肉などは売ってなくて、だいたい塊とかブロック切り。ひき肉も荒い。

そして、お肉も固い!「WAGYU(和牛)」とか日本のお肉が海外で人気なのもわかる気がした。

…が、これはこれでよい。

この日買ったのはブロック切りにされてるもので、ヒレとかではないはずだけど、食感はそんな感じだった。

 

 

調理はただ切って煮るだけなので超簡単!味付けもオリーブオイルと塩コショウのみ。

素材が良いのでマズくなりようがない。(だからイタリアンはシンプルなものが多い!)

煮込み系は冬によく作ってたな~

 

のちにクラスでごはんトークになったとき、先生が話してた印象的な話がある。

イタリア留学中は、ホームシックになる生徒はいても、ごはんが合わないという生徒はいないそうだ。

(唯一メキシコ人が母国料理を欲していたそうだが、メキシカンには特徴的なスパイスの香りや辛さがあるから、それが恋しかったのかも…?)

 

たしかに、私もイタリア滞在中はまったく和食が恋しくならなかった。

イベント的に和食を食べてみよう!というときももちろんあったが、特に必要という感じではなかったし、イタリアンがおいし過ぎるので結局現地のものを好んで食べていた。

 

やはりその土地にいるとその土地のものが体に合うようにできているのかな~と思う。

以前、アジアン料理やキムチが苦手だったが、現地に旅行したときに食べたらすんなり食べられて好きになったことがある。

たぶん、空気、湿度や天気、光、水など…、いろんな要素がその土地ごとに違うから、それに合ったものを自然と求めるのだろう。

 

イタリアは、和食を食べるには何かがガッシリ!し過ぎているのだ。

繊細なお出汁やみずみずしい野菜や果物が、ここではなんか負けてしまうというか、物足りなく感じる。

ただし、腸内環境はやはり慣れ親しんだ和食から離れると不調をきたすようで、米や味噌から離れた小麦浸けの日々は、完全に私の腸内環境を乱しまくっていた…

あくまで私の感想だし、数年後に行ったらまた違う感覚があるのかもしれないけど、とにかく当時はこのような印象だった。

 

 

調理については、設備も日本とそんなに変わりはないし苦労はほとんどなかった。

ガスコンロはこんな感じ。

この、五徳が一気に外せるのがすごくよかった。お掃除もラクチンである。

家にもよるが、イタリアのガスコンロに火を着けるときはチャッカマンを使う必要がある。

つまみを回してガスが出たところにシュボッと着ける。

 

右下のコンロがとても小さいのがおわかりいただけるだろうか?

これはMOCA(モカ)↓というエスプレッソを作るポットのようなものを乗せる用にこのサイズになっている。

 

お客さまからいただいたBialetti♡我が家の宝。日本の五徳だと合わないので、モカ用の補助五徳に乗せて…

 

このMOCA、コーヒー好きのイタリア人には欠かせなくて、どの家にもだいたいある。

現在はイタリア人の家庭でもネスプレッソなど電気のエスプレッソマシーンが増えているので、この4つ目のコンロはサイズが選べるそうだ。

 

イタリアは建物も芸術品も、身近な家の設備に至っても、古いものや旧式に対する愛が深くて、私はそこが好きだ。

車は未だにマニュアルに乗っている人が多い。もちろんオートマもあるが、みんな好き好んでマニュアルを運転したいのだ。

だから逆に、電子マネーや最近のデジタル文化がなかなか浸透しないらしい。

観劇のデジタルチケットに苦労した話や、機械と窓口があったら絶対に窓口に並ぶという話もあった。

逆にデジタル慣れした外国人が、電車の定期券が未だに窓口でしか買えず長蛇の列に苦労したという話も聞いた。

 

イタリア人は「不便」の良いところを知っている。

 

 

…と、気付けば話が大脱線している!ので、自炊に戻そう。

 

とにかくパスタはたくさん作った!

 

CMで見て買いに行ったパルミジャーノ(粉チーズ)。なんと、大好きなペコリーノ(羊乳のチーズ)バージョン!

日本ではなかなかお目にかかれないが、こっちでは普通にある。

 

ちなみに、こちらではいわゆるミートソースのことをラグーという。

イタリア全土で各家庭ごとの味がある定番レシピで、日本でいう肉じゃがのような位置づけかもしれない。

ラグーのボローニャ地方(エミリア=ロマーニャ州)風のものがボロネーゼ。肉感重視なのが特徴。

フィレンツェがある州・トスカーナ風だともう少しトマトがたくさん入ってるそうだ。

食べ比べたことがないので完全我風(=適当)である。

 

簡単にできておいしいから、飽きずによく作ってたなぁ~

 

 

 

シーフード系はのちに海の街に引っ越してからさらに多く作るようになったが、新鮮なものを少量買うのはむずかしく、いつも冷凍シーフードを利用していた。

 

これはマリナーラの冷凍パスタソース。具がしっかり入ってておいしい。

 

これはなんか魚?とズッキーニ入りだろうか…

我流すぎて私にももうわからない。

 

豆もいろんな種類がたくさん売ってる。

これはボルロッティという種類。

 

普通スープとかにするんだろうけど、なんか謎のパスタソースを作ってみた。

 

あと、お米も食べようということで、でも炊飯器はないのでパエリアもどきみたいにして作っていた。

 

お米もいろんな種類がある。

基本的にイタリアのはパラっとしてて噛むと粉っぽい。日本風の水分たっぷりもちもち系カルナローリ米もある。

写真のは細長いインディア種。

私は食べる機会がなかったけれど、夏の定番メニューでライスサラダもある。

文字通りお米入りのサラダ。日本でいう冷や汁的な感覚かもしれない。

 

 

それから、カレーも作った。

日本にいる頃「印度カリー子さん」を料理好きのお客さまに教えていただき、少しスパイスカレーの練習をしていたので、作ってみた。

 

でも近所のスーパーではスパイスが混ざったものしか買えず…

調合はCONAD風となっている。

 

炊飯器がないので普通の鍋でごはんを炊く。

 

鶏肉がパサパサで、野菜も固いのでなかなか煮えず…ちょっと微妙だった。

(CONADのスパイスはおいしかった!)

 

 

お米の調理についても模索していたとき、チャーハンもつくってみた。

 

今や世界中どこでも買える、キッコーマンのしょうゆ。

チャーハンは可もなく不可もなく、といった感じだった。

 

 

レトルトのリゾットやスープも買ってみたことがある。

 

 

が、味が濃くて全然おいしくなかった…

やはりめんどくさくても自分で作るべし。

 

こちらもスープに入れるだけの生ハム入り小っちゃいラビオリ的なパスタ。

 

でもこれも全然おいしくなかった…

色悪っ!2日目かな…

 

出来合いのものは当たりはずれが大きいように思う。

COOPで売られてた個人店が手作りしてるラビオリは、すごくおいしくて感動した。

 

 

CONAD製品でお気に入りだったものの1つに、この薄パンがあった。

パンとガレットの間のような感じ。

 

フライパンであぶって…

 

適当に具を乗せて食べる。

豪快過ぎる乗せ方…汗

 

 

興味本位で出前一丁のラーメンを作ったこともあった。

日本ではこういう添加物系の食品をほとんど食べなかったので、逆にどんなもんだろうと食べてみたくなった。

 

 

キャベツとマッシュルーム炒めと、ゆで卵乗せ。

うん、予想通りの味!

 

 

お菓子やスイーツも、いろいろおもしろかった。

ポテチなどは必ずローズマリー味があって、これが大好きだった。

ちなみにイタリアのこういう商品の油はだいたいヒマワリ油(girasole)を使っている。

そんな健康でないことに変わりはないが、でも芋の風味や厚みなど、日本のそれと比べるとナチュラルで素材感がしっかりしていた。(恋しい…)

 

ジェラートもまだ外で食べられないので、おうちにて。

サルデーニャ島のメーカー「BOLMEA」のジェラート

 

これまた素材の味がしっかりしておいしかった!

 

ちなみにサルデーニャ島は世界中の人が訪れる、海のとーってもきれいな島。

後半に校舎を変えたとき私も行ってきて、とてもすばらしかったのでまた夏の記録で書くのでお楽しみに。

 

 

すごい長くなってしまった…

滞在中のごはん記録についてはまだまだたくさんあるので、今後もアップしていきたい。

 

次回もお楽しみに!

 

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