《旅エッセイ》コロナ禍のイタリア留学 8:アシーへの闘争心と、隔離明けのフィレンツェ散歩

 

 

 

ようやく隔離期間が明けた。

11月後半のフィレンツェは、寒い日もあるが思っていたほどではない。

アルノ川が近くを流れているため常に湿気があり、冬もそんなに寒くならないのだとか。

(雪もめったに降らないため、たまに降ると街がまったく機能しなくなるらしい…)

 

部屋の中はガス式の暖房でそこそこあたたかい。

よくヨーロッパで見る、白いじゃばら状の壁にくっついてるやつを皆さんも見たことがあるだろう。

これこれ

 

ガスで沸かしたお湯が壁を伝ってあの中に入り、その輻射熱で部屋を暖めるという仕組みになっている。

設定しておくと毎日決まった時間に動き出し、夜は止まる。

洗濯物をかけておくとすぐに乾き、おまけに加湿にもなるので、私はこれが大好きだった。

 

でも、やはり石造りのイタリアの家…

これだけでは足元が寒いので、ヒーターを買った。

スーパーで売ってるMADE IN CHINAの安いやつ。一冬持たずに壊れた…ガーン

 

 

モニカの授業は相変わらず楽しい。

オンラインなので板書はすべてZoomのホワイトボード上で繰り広げられる。

こんな感じ

 

文法の説明をしてくれて、教科書の問題を当てられて順番に答えていく…その繰り返し。

日本で勉強してきた内容をちゃんと覚えられていたことがわかって嬉しかったし、新たな発見もあったりして、この時期の私はサクサク頭の中を整理して順調に基礎を固めていっていた。

 

クラスメイトには、事前学習も何もなくこの初級クラスに参加している生徒もけっこういて、みんな複雑な文法ルールを覚えるのに苦労していた。

私も日本でイタリア語教室に通い始めた頃は、何が何だかわからなかった。

日本語が話せるイタリア人の先生だったのでなんとかなっていたが、しょっぱなから本国でイタリア人先生から学ぶなんて…

みんな無謀よのぉ~、クックックッ…

 

 

そんな中、一人とても優秀な生徒がいた。

その名はアシー。インド系イギリス人で、20代半ばぐらいだろうか。勤務医をしているらしい。

さすがはイギリス人、礼儀正しく謙虚で穏やか。おっとりと育ちの良さがにじみ出ている。

そして医師なだけあって、頭が良い。彼も事前学習なしに参加しているであろう一人であったが、飲み込みが早かった。

 

実は私は、おこがましくもひそかに彼をライバル視していた。

アシーはとても感じ良くふるまっているが、そこが鼻に着くところもあり、ちょいちょいインテリぶってる(ように私には見える)ところがある。

 

例えば、芸術の国イタリアということで授業中の会話でもそういう話題はよく出る。

アシーの趣味はコンサートに行くことで、それは素敵な趣味でよいのだが、所々に「そうなんです、僕は高尚な趣味を持ってるんです」という、純粋に芸術を楽しむのと少しずれたエゴイズムのようなものが垣間見えるのだ。

江戸っ子の私にはそのへんがなんかいけ好かなくて、「ケッケッ!気取りやがって!」と内心思いながら、彼には負けてたまるかと勝手に闘争心を燃やしていたのだ。

 

また、彼は授業内でマイペースに自分の話をする時間をよく取った。

後にクラスが変わってからもこういう生徒(やはり外国人は自己主張強め)はたくさんいたし、アウトプットにチャレンジするのは語学習得に欠かせないので、別に悪いことではない。

が、オンラインの画面で彼がずっとマイペースに、言葉を選びながらゆったり自分の話を繰り広げてるのを見てると、なんかムカついてくる。

コロナ禍ということもあり、とくにワクチンが出回り始めてからはもう彼の大活躍である。

そして先生はみんなおばちゃんなので、この若くてスマートなアシーに甘い。

別に彼が私よりレベルアップしようがしまいが、私のレベルに関係ないのは重々承知の助である。

自分の負けず嫌いと心の狭さがこんなところで出てくるとは…、私もまだまだ若輩である。

 

 

…そんなこんなで、ライバル・アシーの存在が功を奏したかはわからないが、とにかく猛勉強した。

ノートもみっちり書き込んで一冊終わり、電子辞書の電池も切れた。

 

 

電池を持ってくることなどすっかり忘れていた!現地で買えたけど、持ちが悪かった…汗

 

 

さて、イタリア滞在のためには滞在許可証(Permesso di Soggiorno)を取得する手続きが必要で、本来は到着後8日目までに済ませなくてはならない。

このときは隔離期間が考慮され遅れてもよいことになっていて、隔離が明けたので早速学校へ行った。

 

ここが入り口

 

きれいなロビー

 

学校はドゥオモの真裏なのでとてもよい眺め!

 

レッスンはすべてオンラインのため受付スタッフ以外には誰もいない。

英語もイタリア語も話せないのでとまどったが、受付スタッフの人たちは手続きを丁寧に教えてくれた。

 

マスクで飾られたクリスマスツリー!コロナ禍ならではの風景…

 

 

隔離が明けたのでお散歩も自由にできるように。

サンタクローチェ広場。早朝に行くと、閑…散…!

 

このきれいなファサードは改修されたもので、昔のオリジナルではないらしい

 

脇にはダンテ像

 

 

すっかり秋やね…

 

大好きなお散歩コースをてくてく…

 

きれいな湧き水?見とれてると蚊がいるので注意!

 

ミケランジェロ広場からの眺め

 

 

さっきのサンタクローチェ教会、上から見るとこんな感じ。

あのファサードはお菓子の家のクッキーみたいにペタッとくっついてた。

 

 

そしてさらに登ると、サンミニアート教会。

 

私はこのSan Mniato al Monte(サンミニアートアルモンテ教会)が大好きである。

フィレンツェの中でどこが一番好きかと聞かれたら、思いつくのがここだ。(たぶんファンは多いと思う)

 

夕日のきれいな観光名所として有名なミケランジェロ広場から、さらに上に登ったところにあるかわいい教会で、1000年の歴史がある。al Monte(アルモンテ=山の)というからには小高い丘の上にあって、内からは片道45分ぐらいのお散歩コースだ。

フィレンツェの中心地区は道がとっても狭く、建物もギッチリ。

こんな感じ

 

どこを見ても石・石・石!の街なので、日光浴したいときには広場やアルノ川の方まで出て来なければならない。

外出制限が多く運動不足になりがちだったこともあって、フィレンツェ滞在中はサンミニアート散歩を週3ぐらいで行っていた。

別に行って何をするわけでもないのだが、とにかく見晴らしがよくて気持ちよい。

緑も多く、鳥ちゃんがさえずってて、ほっとする。

そして、この教会の雰囲気がなんか良かった。でもこの頃はたしかまだ中に入れなかったような…

 

写真もたくさんあるので、サンミニアートについてはまた改めて別の回でお伝えしたい。

 

 

この頃はテイクアウトも色々してみた。

ランプレドット(トスカーナ名物のモツ煮込み)

おいしいけど、お腹にけっこうずっしりくる。その上、トウガラシを入れてもらったらすごい辛かったー!

 

こちらは生ハムとペコリーノチーズのパニーノ

 

チェントロにある有名店「Fratellini(フラテリーニ)」

 

パンばっかりだけど…

これは塩なしのトスカーナパン

 

昔トスカーナでは塩に税金がかけられていたため、塩を入れないパンが主流になったんだとか。

そしてこの手のパンは翌日にはもうバリバリに固くなるのだが、これをスープに入れてぐずぐずにして食べる(パッパ)のがトスカーナ流。

 

フォカッチャ

 

そしてリコッタチーズのタルト。

これ、パン屋さんやお菓子屋さんに行くとだいたいある定番メニューで、とてもおいしい。

 

これはアランチーニ(お米のコロッケ)

1個がすごい大きくてボリューミィ!

 

 

イタリア留学が始まって1ケ月目は、こんな感じで終わった。

勉強は大変だが充実しているし、コロナ禍ではあるけれど暮らしも楽しめている。

 

しかし、このあと間もなくとっても辛い時期がやって来ることを、

このときの私はまだ知らなかった…(-_-)

 

 

 

につづく

 

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