《旅エッセイ》コロナ禍のイタリア留学 9:苦しみの12月

 

 

12月最初のレッスン。

いつも通り朝からオンラインレッスンに参加した私は、PCの前で固まっていた。

画面に映っているのはモニカではなく知らない先生。新しい生徒も何人かいるようだ。

アシーや他の生え抜きの生徒も「あれ?」という感じだ。

 

新しい先生の説明によって、彼女の名前はベネデッタで、今日からクラスが初級の2に入ったことがわかった。

 

なんということ…!!

モニカも、モニカの授業もとっても好きで、(振り返ればたったの3週間だったけど)毎日必死でがんばっていたのに…

何の別れもなく突然クラスが変わってしまったのが、ものすごいショックだった!

あまりのショックに、席を外して泣いた。

 

しばらくグズグズしてから、それでも続けていくしかないので画面に戻ると、みんなが自己紹介をしていた。

 

生徒は新たにドメニカ共和国とトルコから加わったほか、1週間だけで入れ替わり立ち替わり去っていく生徒もけっこういた。

 

とくに、スペイン語圏の国の生徒が増えたのが私を悩ませた。

ご存じの方も多いと思うが、イタリア語とスペイン語は文法も発音もすごく似ていて、お互いなんとなく言ってることがわかるのだそうだ。

(日本人が中華圏の漢字を見てなんとなく意味がわかるのと似てるかもしれない)

そしてスペイン語圏の人々はよくしゃべる。文法がめちゃくちゃなのに、そこを乗り越えてというか気にしないで、とにかく思ったことを全部発言する。

なので、授業のリズムを彼らがかっさらって行ってしまうのだ。

 

 

しかも、日本人は英語ができないとよく言うが、留学に行って本当に見事に英語ができないのは日本人だけだと思い知った。

英語圏でなくてもイタリア語を習う人はみんな当たり前のようにまず英語ができる。それが普通なのだ。

わかっちゃいたけど、これで苦労することになるとは…

 

 

実はこのクラスになってから、授業の形式が少しだけ変わった。

後半に生徒たちだけの「ブレイクアウトルーム」に2~3人ぐらいずつ振り分けられ、与えられたトピックについて15分ほど話し合ったり、グループワーク的なものをする時間が設けられたのだ。

私はこれが苦手でしょうがなかった。

 

まず、先生から指示されたことがあまりよくわからない。たぶん他の生徒もよくわかってない。

それでルームに振り分けられてもお互いどうしてよいかわからず、でもうまく話すこともできず…のようなことが起こる。

おそらくここで英語が話せる生徒同士だと雑談でもして時間をつぶせるのだが、私はそれもできない。

 

たまに(ほかの生徒たちにとっては)おもしろいワークがあって盛り上がったりなんぞした日にゃぁ、完全孤独なアウェイを喰らうことになる。よくわからぬまま、ヘラヘラしてやり過ごすしかない。泣

 

 

この初級2のクラスは、後から振り返っても一番辛い時期だったと思う。

11月が序章なら、これはまさしく苦行の章だった。

 

スイスイムードから一転して、崖からどん底へ落ちたような絶望感、そして焦り。

そんなことを言ってもとにかく覚えるしかないのだが、残念なことに得意だった文法も、この頃から未来形・条件法などなど…

どんどんむずかしくなっていき、全てが苦しくなってしまった…!

突然ですが、授業の休憩中に食べるお菓子シリーズ…ローズマリーのブルスケッタ

 

 

おぉ神よ、どうかこの日本人アラフォー女子をお救いください…

 

祈りが神に通じたかどうかはわからないが、救いは休暇となってあらわれた。

12/20で年内の授業は一旦終わり、クリスマス休暇に入るのだ。

学校に行き始めて2ケ月目という一番つらいときに一旦休みに入れるなんて…、なんてありがたいことだろう。

キリストよ、12/25に生まれてくれてありがとう。さすがは救世主というだけある。

 

 

そんな中トスカーナは12/7からゾーンが黄色からオレンジに変わり、入国したときより規制が少しずつ厳しくなっていて、年末年始はレッドゾーン(=ロックダウン)が決まっていた。

家の行き来も(家族・親戚であっても)人数制限があったり、「とにかくあまり大勢でワイワイしないで、家で大人しくしててね」という厳しい政府の御触れが出たのだ。

私としてはロックダウンだろうが何だろうが、とにかくこの授業から解放されるならそれでよかった。

元々おうちに一人でいるのは好きだし、フィレンツェでそれができるならむしろ楽しいではないか。

 

とにかく12月は、休暇を待ち遠しく思いながら日々をがんばるしかなかった…

日本から持ってきた栗まんじゅうと緑茶でひといき…♨

 

 

ところで、私の苦行モードをよそに、街はすっかりクリスマスムードになっていた。

 

コロナのため少し控え目ではあるが、通りではあちこちでイルミネーションをやっている。

 

 

ドゥオモ広場のツリー。人もけっこう出ているのがおわかりいただけるだろう。

 

レプッブリカ広場のメリーゴーランド

 

フィレンツェのデパート、Rinascente(リナッシェンテ)

 

これは高級パスティッチェリア(お菓子屋さん)「Gilli(ジッリ)」のショーウィンドウ。

ラッピングがかわいい♡

 

 

私はクリスマスの雰囲気やイルミネーションにそんなに興味はないが、イタリアのそれは素朴でよい。

 

母が同時期に、東京のイルミネーションの写真を送ってきてくれたのだが、あまりにきれいに整い過ぎてて都会的で、なんか味気なく感じてしまった。

これこれ。日比谷ミッドタウンの。

 

きれいなんだけど、LEDの白っぽい色だし、なーんか味がないというか嘘っぽいというか…

 

なんて言ったらいいのかよくわからないけど、とにかくイタリアのは手作り感とか職人感なども感じられて素朴で、あたたかさが心にダイレクトに届く感じがした。

そう!東京のはなんか冷たいというかよそよそしい広告のような感じがするのだ。

 

…まぁ、私の心がひねくれてるからこう感じるのかもしれないけど…(-_-)

 

 

次回10は、クリスマス前に起きたちょっとした事件について書きます。

お楽しみに~

 

 

↓ ポチッとお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

トラックバック URL

https://soyo-soyo.jp/14032/trackback

PAGE TOP