《旅エッセイ》コロナ禍のイタリア留学 12-②:イタリアのテレビはおもしろい!

 

 

ロックダウン中の楽しみの一つにテレビがあった。

 

日本で一人暮らししてた頃はテレビがなかったし、別にテレビっ子でもないのだけれど、イタリアでは語学学習と思って見始めた。

 

そしたら、これがなかなかおもしろかった!

 

 

さすがイタリア、料理番組がめっちゃ多い

見始めてすぐ気付いたのが、料理番組の多さ。

さすがクチーナイタリアーナである。

 

しかも、奥様のためのいわゆるお料理番組だけでなく、エンターテインメントとしておもしろい形式のがいっぱいあるのだ。

 

例えば、こちらは対戦形式。

プロのシェフにイヤホンで教えてもらいながら、料理初心者の一般人が作る。

セットの色もすごいハデ…

 

オレンジチームのシェフ

 

作る人

 

緑チームのシェフ

 

作る人

 

メニューのお題も毎回ちょっと変わったものがセレクトされてて、この回はたしか

ピエモンテの郷土料理 フリットミストで、食材に羊の脳みそもあった…

そんなの普通のイタリア人でも作れない人がほとんどなのでは…というレアメニューをサラリとぶち込んでくる。

 

 

変わりましてこちらは、金髪美女のプログラム。

この人は助手でシェフがすぐ登場するかと思いきや…

 

料理番組にまったく似つかわしくない扇情的なこのいで立ちで、作り始めてしまった。

しかもあまり料理が得意ではない様子…

真っ赤なネイルで、慣れない手つきで調理している。

 

 

ちなみにこのオリーブオイルメーカーのタイアップ番組のようで、セットにはこの製品がたくさんある。

 

そして、料理も終盤を迎えつつある頃…、やっとシェフ登場!

これ、コロナ禍に撮影してると思うんだけど、この距離感で撮影していた。

日本は演者もパーテーション付けたりしてたけど、この辺も違いがあった。

 

最後、玉ねぎ切って涙する金髪美女。

 

イタリアでは料理番組は奥様のものだけではなく、オヤジも楽しめる仕様になっていた…

 

 

お次はこちら。

有名リストランテのシェフを招いて料理を披露してもらう番組。

これの特徴は人数が多いこと。

司会進行役のおじさんと、お皿洗いのおじさんと、ダイニングで待つおばさまと、もう一人ぐらいいた気がする。

ここにシェフが助手を連れて来たりするので、とっても賑やかになる。

 

本当のおうちのキッチンのようなセット(…か本当の家なのか?)で撮ってて、ダイニングや洗い場まで使ってるのでリアル。

 

 

 

レシピはさすが有名シェフのものなので、とってもおいしそう!

この日は「Pesce Briaco(ペッシェブリアコ)」のシェフだった。

このリストランテ、ルッカにあって、宿泊もできるようで、いつか行きたいな~

魚介のニョッキだった。食べたいよ~

 

「LE GRANDI RICETTE」という番組。

 

 

つづきまして、こちらは料理研究家として有名なbenedetta Parodi(ベネデッタ・パローディ)さんの番組。

細かいことは気にしないでテキパキ調理する、明るいキャラで人気。

 

この日のメニューは天ぷら!

 

海外から見た「和」ってほんとミステリアスだよね…

 

テーブルセッティングもこだわる。下駄アレンジとは斬新!

 

これは失敗ではないのだろうか…笑

 

 

昔「料理の鉄人」が流行ったとき、その番組形式が海外に輸入されていろんな国で流行ってたらしいし、

エンタメとしての料理番組ってやっぱ人気なんだなと思った。

日本でも「愛のエプロン」とかエンタメ料理番組ブームがあったけど、イタリアではブームに関係なく末長く愛されてる感じがした。

 

 

日本のアニメがたくさん!

こっちのテレビで驚いたのが、日本のアニメをたくさん放送してること。

数々の名作を放送していた、あの懐かしの「ハウス食品・世界名作劇場」を覚えている方も多いと思うが、

朝、ちょうど授業前の時間帯に見ていたら、「赤毛のアン」が放送されていて、画面にくぎ付けになった。

 

他にも、少女漫画がアニメ化されたシリーズで「こどものおもちゃ」もやっていて感動した!

ちょうどこれを見てた時にイタリア人の同居人がいて、主人公の名前はサナちゃんだが、こっちでは「Rosana(ロサーナ)」で放送されてることを教えてくれた。

 

授業でも日本のアニメを見た話をしたら、先生も

「イタリア人はみんな日本のアニメを見て育ってて、私もあの目の大きい絵を見て育ったよ」と言っていた。

改めてアニメで見ると、このキラキラのデカ目、たしかにすごい…

 

これは世代的にちょっと違うけど、やはり日本の漫画。

 

 

ご存じの方も多いと思うが、実はイタリアにはアニメオタクがけっこう多い。

フランスのコスプレフェスがあるのはけっこう有名だと思うが、イタリアでも同じようなのがあって、毎年LUCCA(ルッカ)というトスカーナの都市で開催される。

(さっきの有名シェフのリストランテがある街)

 

後半で私が住んでいたViareggio(ヴィアレッジョ)という海の街がルッカに近かったので行こうかとも思っていたが、結局悪天候と、電車に乗るのにグリーンパス(陰性証明)の取得などが必要で、面倒でやめてしまった。

次回秋にイタリアに行ったらコスプレして遊びに行こうと思う。(アシタカかコジコジで!)

 

 

おしゃべりをやめないイタリア人

ところで、ニュースを見ててとくに思うのだが、イタリア人はとにかく自分のしゃべる分はしゃべり切りたい!という人が多い。

ニュースで意見を述べるときなど、相手が話を遮ろうとしてても気にせず強引にしゃべり続ける。

 

日本でもたけしのTVタックルとかだと白熱して「俺が!私が!」となるけれど、イタリアのニュースではそれが普通だ。

遠くにいるレポーターは通信に時差があるので視聴者からするとスタジオと会話がかぶることがよくあるが、普通司会者がしゃべり始めたのが聞こえたら一旦ストップするのに、やめないことも多々ある。

とにかくしゃべり切りたいらしい。

 

こちらは「uomini e donne(男と女)」という一般人参加型の番組。

一体どんなもつれが生じてるのかはわからなかったが、とにかく男と女が議論しまくっている。

 

このときはこのイケイケな女性のことで2人の男性がモメていて、本気で白熱してておもしろかった。

「あ〜あ、やれやれ…」といった表情。

 

身振りがオーバーなのはやはりイタリア。笑

 

ちなみに、コロナ禍のイタリアの様子でいかにもイタリア人らしいと話題になってたことがある。

初期の完全ロックダウンで、家から一歩も出てはいけないとお触れが出たときのこと、

小さなテラスの柵と柵に板を渡して簡易バンコ(カウンター)を作り、隣人とカフェを楽しんでいたそうだ。

 

彼らはとにかくコーヒー片手におしゃべりがしたい民族なのだ。

先日(2023)のWBCでも、イタリアチームのベンチにエスプレッソマシンがあると話題になっていたが、本当にチャーミングな人たちだな…と、うらやましく思う。

 

 

吹き替えの番組はヒアリングに◎!

語学学習のためにと思って見始めたイタリアのテレビ番組だったが、そのおもしろさに言葉の壁を越えてハマってしまった。

 

そして気付いたが、英語の映画や海外の番組を放送する際にイタリア語に吹き替えされたものは、現地人が早口でしゃべっているものよりも断然聞き取りやすい。

 

日本のアニメは内容もなんとなく頭にあってセリフも想像できるので、これを見続けていたら上達したのではと思う。

が、わざわざイタリアに来て日本のアニメを見てるのもなんか微妙だったので私はそれ以上は見なかった。

 

私が一番好きだったプログラムは、「Josephine Guardian Angel(守護天使 ジョセフィーン)」の再放送である。

フランスのTVドラマで、ウィキペディアによると1997から放送していたようである。

 

金髪のおばさん(小人症の役者)が主人公。天からの命令で困っている人のもとへやってきて、あらゆるピンチを乗り越えてお助けする、という90分の一話完結ドラマ。

これはスペシャルでタイに行く回。

ゾウにも乗っちゃったりして、楽しい回であった。

 

ジョセフィーンは実は天使なので魔法を使えて、最後は指をパチン!と鳴らして天に帰っていく。

フランスの作品なのでみんな美男美女で、起承転結があるので話もわかりやすいし、天使という題材もなんかヨーロッパっぽくて良かった。

勉強漬けで、おうちに缶詰だった頃、毎日これを見てたな~

また見たいな。イタリア語の吹き替えで。

 

 

クリスマスはオペラの特番が!

クリスマスより少し前の12月8日は「無原罪の御宿り」の日、聖母マリアがその母のお腹に宿った日で、カトリックの国は祝日となっている。

 

クリスマス前というのもあって、テレビでは特番でオペラがやっていた。

有名なアリアが多く、コロナで観劇に行かれない当時みんなの心が癒されたと思う。

 

蝶々夫人の「ある晴れた日に」

 

アンドレア・シェニエより「亡くなった母」

 

最後はトスカより「誰も寝てはならぬ」

このようにミラノのスカラ座で、無観客で行われていた。

 

会場全体が宇宙のような演出で、画面ごしにめっちゃ感動!

 

 

一人で感激して涙が止まらなかった!(T_T)

 

 

イタリアはまだデジタルがそこまで浸透していないというか、みんなアナログが好きだから

テレビの人気も根強く、そのためおもしろいご長寿番組もいまだ存在しているのだと思う。

昭和にテレビを囲んで気持ちを共有したあの感じがまだある。

日本なんて今、テレビ全然おもしろくないもんね。

 

 

というわけで、イタリアのテレビのおかげでロックダウンも楽しく過ごせた。

 

 

<余談>

お正月は和風で迎えてみようと、アジア食材のスーパーでお蕎麦やめんつゆ、豆腐を買ってみたものの…

 

全然おいしくなかった…泣(とくに豆腐)

やはり和食のようにシンプルな料理は、素材が大事だな〜と実感。

 

 

 

それでは、次回13もお楽しみに!

 

 

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