前回まではこちら
前回までのあらすじ
広大なリッチモンドパークで、野生の鹿は見れなかったもののピクニックをすることはできた。
そして途中お手洗いに翻弄されつつ猛暑の中を歩き、念願のキューガーデンへ。
しかしそこは、灼熱地獄と化していた。
暑すぎて植物の観察はほとんどできず、水を求めて彷徨うことに。
結局、ショップで買った炭酸水を飲んだだけで、たった1時間でその場を後にしたのだった。
旅行中にしたかったこと、残り3つ↓
- 美術館で名画を見る
- ポートベローでアンティーク探し
- ハーブティーを買う
今回は、どでかいフィッシュ&チップスと、TATE美術館でオフィーリアを見たこと、そしておなかピーピーを発症して高級デパート ハロッズにお邪魔した話。
どでかすぎるフィッシュ&チップス
5日目。
今日は、他の都市でお芝居を観るために2日間留守だった母とその友人が帰ってくる。
午後まで暇なので、近所のホランドパークへ 散歩することにした。
前回はクジャクをあきらめたので、今回こそはぜひとも会いたい。
外は今日も30℃はあるが、この道を歩くのは2回目なので足取りは少し軽かった。
公園に着くと、こないだピクニックをした芝生を通り過ぎ、奥へとずんずん進んでいく。
京都庭園は、大きくはないが本当にリアルに造られた日本庭園で、急に浜離宮に来たみたいだった。
しかし、とにかく暑い。
庭園はリアルではあるものの手入れは日本ほどはしていないようで、まるで濁った抹茶のような池は、表面を泡にぶくぶく覆われてちょっと不気味。
鳩たちはみんな、カラカラの芝生で休憩している。

ところで…
海外で鳥を見るといつも思うが、日本の鳥と比べて警戒心が少ない。
昔、ハワイで朝食を外で食べたとき、彼らがおびえる様子もなくすごく近くまで来たのでびっくりしたことがある。
私は子どもながらに、「動物も人と同じで、その土地らしい性格になるんだ」と思った。
すべての国で検証したわけではないので、もしかしたら寒い地域では鳥も閉鎖的になるかもしれないし、種類によっては日本でもわりとフレンドリーな鳥もいるし、アマゾンでも警戒心の強いのもいる。
そしてイギリスの鳥たちは、私の印象では、ゆったり、のんびりしていた。
イギリスのクジャクがどんな性格なのか知りたかったのだが、結局、暑さでどこかへ隔離されているかなにかで見られずに終わった。

やがて、母たちが帰宅。
夕飯は、Googleマップで知ったフィッシュ&チップスのテイクアウトのお店に行ってみることにした。
イギリスにはこのようなお店がけっこうあるようで、超物価高の中、名物料理を手軽にいただけるのはありがたい。
魚の種類はサーモンなどいくつかあったが、オーソドックスなタラにして、チップス(ポテトフライ)のレギュラーサイズと、コールスローも注文した。
しばらく待って、できたてを受け取ると、3人でその大きさにびっくり仰天した。
ビッグフットの足裏ぐらいありそうなタラは、新聞紙ぐらいのわら半紙にぐるぐる巻かれていて、抱えると生まれたての赤子のよう。
チップスも、桶1杯分ぐらいありそうなのを、これまたわら半紙で包んである。
コールスローも加わったビニール袋は、2キロ以上はありそうだ。なんてワイルドなのだろう。
アパートに戻ったらさっそく半紙を広げて、私はケチャップで、母たちはお酢で、豪快に食べてみる。
変な味つけはなく、素材の味がしっかりして、見た目よりとてもおいしい。
タラもうまいが、イギリスはじゃがいもの味がすごくいい。スーパーで普通に売っているポテチも、芋の味が濃くて満足度がある。
これは、サンドイッチに次ぐ新たな発見だった。
イギリスに来たら、サンドイッチとじゃがいも料理を食べていれば、間違いない。
TATE美術館でオフィーリアを見る
6日目。
母の友人はこの日の早朝、先に日本に帰って行った。ここからは母と二人旅になる。
この日はTATE美術館(テートブリテンの方)へ。
ラファエル前派のオフィーリアをはじめ、ロセッティなどを見るのが目的だ。

館内は広くてきれい。全部見て回るのは大変なので、見たいのだけ絞って回る。
ラファエル前派は少女漫画みたいでうっとり、いつまでも見ていたくなるが、中でも私はロセッティが好きだ。
画集やネットでしか見たことのなかった作品を、本国で、目の前で見られる嬉しさに、胸が小躍りしている。

「Proserpina」
題材のプロセルピナは、ローマ神話の冥界王プルートの妻。
この深い闇を感じさせる色合いで描かれた絵は、神話と占星術、モデルの雰囲気まで、すべてがしっくり繋がる本当によくできた作品だと思う。
ロセッティも占星術をかじっていた可能性は大いにあるけれど、冥界というテーマと、モデルのジェーン・モリスのこの雰囲気があまりにも合っていて、やっぱりこういうのは勘とかセンスなんだろうな、と思う。

「Beloved」

アルマ=タデマの作品も素敵。

これもアルマ=タデマ

「Ophelia」
そして、一番の目玉と言っても過言ではない、オフィーリア。
もう細かい感想を述べるのはやめて、なんか、イギリスって本当に、物語の国なんだな…と思う。
シェイクスピアしかり、児童文学しかり。
そしてアートやロックに至るまで、イギリス文化を貫く特徴として「物語」というキーワードを持っていると、理解できることがすごく多いと思う。
ここに来てなんとなく私は、イギリスに食の豊かさを求めていた自分が間違っていたことに気づき始めた。

高級デパート ハロッズで、ピーピー発症
7日目の今日は、V&A(ヴィクトリア&アルバート美術館)のイースト・ストアハウスに行く。
ここにはデヴィッド・ボウイのアーカイブが収蔵されているセンターがあり、彼の大ファンである母の意向で行くのだが、私は彼の曲や歌声は好きだがアーカイブに興味があるほどではない。
朝、ここらでそろそろ持参したお米を使っておにぎりを作り、途中のハイドパークでピクニックしよう、ということになった。
しかし、アパートのテフロン鍋が微妙で、洗剤の匂いがいくらお湯を沸かしても取れない。(私は嗅覚に超敏感)
でも他に選択肢がないので、その鍋で米を炊き、おかずは持参した出汁を使って卵焼きを作った。
スーパーで買ったマスカットや、レジャーシートも持って、準備ばっちり。
ハイドパークはこれまた広大で、入口前の道では母が、エリザベス女王のパレードのときの何ちゃらかんちゃら…と興奮していた。


お花や水鳥の観察などしながら、ピクニックに適した芝生を見つけ、おにぎりを食べる。
やはり微かに洗剤のような匂いがするし、水が違うせいかお米も味気なかったが、自然の中なので楽しく食べられた。
周りにもピクニックしている人がけっこういて、遠くの方ではリスがちょろちょろして、おじさんからごはんを恵んでもらっている。
大きな木の陰にいると涼しく快適で、母と私は食後にしばらく寝そべってくつろいだ。
こんな広い公園が、東京や湘南にももっとたくさんあったらいいのにな…

それからぼちぼち、歩き出す。
すると──
なんだかおなかの様子がおかしい気がしてきた。
たまたま近くにハロッズがあって、元々ちょっと見たかったので、中を覗きつつトイレを借りることに。
中に入ると観光客だらけで、ブランドショップも賑わっている。
私は自分でも状況が読めないおなかとともに、ブランドのフロアを足早にすり抜けて、行列のできているトイレへ向かった。
こんなに混んでいるのに個室が3つしかなく、まるで空港かのようにいろんな人種の女性が並ぶ中、自分の番が近づくほどにねじれるおなかを東洋の秘伝・丹田呼吸法で鎮めながら、切腹を待つ武士のようにじっと耐えた。
まさか、普段から瞑想のために活用している呼吸法がこんな場面で役に立つなんて、一体誰が想像できたであろう。
そして──
私はついに、ロンドンの高級デパート ハロッズで、おなかピーピーを発症してしまったのだった。
とりあえず急を要する感じではないし、歩くことも普通にできたのでV&Aには行けたが、ふいにやってくる腹痛に翻弄され、デヴィッド・ボウイももうどうでもよくて、ベンチでひとり途方に暮れていた。
美術館のトイレが最新式できれいだったのが、不幸中の幸いだ。
ちなみに、母のおなかは何ともないので、おにぎりのせいではないらしい。
今朝まで食事をともにしていた友人も何ともないので、ゆうべのフィッシュ&チップスでもない。
私のピーピーの原因は、いかに…!?
次回につづく。
▶︎ ロンドンで、しんどさと感動の間でもがいた11日間 ④

大きなエキナセアのハーブ、初めて見た











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