ロンドンで、しんどさと感動の間でもがいた11日間 ①

 

 

 

今回は、エッセイ風に仕上げてみました。

読者のみなさまにも、追体験してもらえるようになっています。

楽しい思い出ばかりではないけれど…、ぜひお楽しみください!

 

 

大まかなあらすじ

先日、長めのお休みをいただきロンドンに行ってきました。

母とその友人がロンドン公演のお芝居を観に行くことになったのがきっかけ。

約30年前(当時は小学生)も同じメンバーでロンドンに滞在したことがあったので、なんとなく懐かしさもあり、便乗することに。

 

しかし…

愛してやまぬイタリアと同じヨーロッパということで

似たような暮らしを想像していたら、全然違って戸惑いまくりの日々。

 

記録的な熱波の直撃は受けなかったものの、イギリスとは思えぬ暑さや、暮らしのミスマッチに心と体がついていかず、結局体調を崩し、おうちに引きこもることに。

 

それでも、広大な公園や、キューガーデンなどの自然に救われつつ、一番の旅の目的であった『ゴッホの「ひまわり」を観る』ために、ロンドンの雑踏へと繰り出します。

 

※ デジタルデトックスも兼ねた旅だったので、写真は少ないです。ご了承ください。

 

 

 


飛行機の遅延

 

出発の朝。

通勤ラッシュがじわじわと始まる中、特大サイズのスーツケースを転がしながら、羽田空港へと向かう。

7月初旬。暑いけど、まだ梅雨は明けていない。

きっと帰国する頃には、ものすごい暑さになっているんだろうなと思いながら電車に揺られ、時間通りに到着した。

 

母と、その友人と集合し、もろもろの手続きを済ませて搭乗する。

飛行機に乗り込んでしまえば、こっちのもの。あとはただ座り続けるのみだ。

空の旅はあまり好きではないが、この日のためにスクワットで腰痛予防をしてきたし、幸運なことに隣の席が空いていて、少しだけ開放感があった。

 

さっそく図書館で借りておいた本を読み始めること、20分。

なかなか動き出さないので周りを見ると、なんだか様子がおかしい。CAたちがみんなソワソワしている。

 

 

すると、機内放送が入った。

「えー、ただいま、後方のお手洗いで水漏れが判明し、修復作業をしております。」

 

気づけば整備スタッフがゾロゾロと集結して、後ろの方で悪戦苦闘している。

ちゃんとチェックはしているはずなのにこんなことが起こるなんて、もはや神のいたずらとしか思えぬ。

神がいたずらをしているのだから、もうどうしようもない。

私は「もう、なるようになるさ」と読書にふけった。

 

 

結局、フライトは1時間半も遅れた。

ただでさえ14時間なのに、さらに長く座る羽目になってしまい、長時間座ることだけが気がかりだった。

 

こういうとき私は、

「きっとこの災難によって、何かをまぬがれたから良かったんだ」

と思うようにしている。

いまだに何をまぬがれたのかはわからないが、スターウォーズを4本見ることはできた。

 

あとは、1年前に手術した痔が再発しないことを祈るのみである。

 

 

 


時差ボケで観たNODA MAP

 

遅れたものの、無事ロンドンに到着し、エアビーで予約したアパートに落ち着いた。

ヴィクトリア様式のおうちを改装したアパートで、設備は全て揃っているが、ドアや窓は昔のまま。

インテリアもヴィクトリアン。

母は「まるで迎賓館だね」と言った。

 

 

翌日は、NODA MAPの公演「華氏マイナス320°」を観に行った。

私も一応便乗してみたものの、NODA MAPは初めてだし、時差ボケもあるし、スターウォーズを4本も一気見したせいで目がひどく疲れている。

最後までちゃんと観ることができるか、限りなく自信がない。

 

席は前から3列目だった。

お芝居が始まると、阿部サダヲや深津絵里の演技に、「おぉっ!」となりながら引き込まれる。

 

しばらくすると、天使が登場した。

広瀬すずちゃんだ!

生の広瀬すずちゃんが、目の前で演技している。

生瀬勝久ではない。

すずちゃんは、お肌がつるんと輝いてて、動きにもキレがあり、声もよく通った。

 

 

お芝居の内容はけっこう複雑で、レイ・ブラッドベリの原作「華氏451度」のストーリーはほぼ追っていないし、言葉遊びみたいのもあって知性も感性も追いつかないので、私はひたすら空気感とすずちゃんを楽しんでいた。

 

が、後半はやはり睡魔に襲われた。

スターウォーズを見ないで寝ていれば良かった…と、後悔してももう遅い。

豪華俳優陣を前に、白目をむいていたかもしれない。

生の広瀬すずちゃんを前にしても、睡魔には勝てないのである。

これが立川談志の落語だったら、速攻退出を命じられていたことであろう。

 

でも、終盤には、ちゃんと感動した。

あまり意味もよくわからなかったけれど、なんか感動したのだ。

さすがだなぁ、野田。

 

 

 


サンドイッチと、小さなカルチャーショック

 

3日目。

今日から2泊、母たちはブリストルへ別のお芝居を観に行くので、私は一人で留守番となる。

 

ちなみに、ロンドンで私がしたかったことはとてもシンプル。

 

  • 公園でピクニックして、クジャクとシカに会う
  • 美術館で名画を見る
  • ポートベローでアンティーク探し
  • スーパーで買い物して自炊
  • ハーブティーを買う

 

為替はポンドがかなり高くなっているが、イギリスは無料の美術館が多いし、昔ほど食欲がなくなったので外食も必須ではないから、あまりお金を使わなくても十分楽しめるはずだ。

 

 

母たちはそんなにたくさん歩けないので、一人の間にまずはピクニックに行くことに。

アパートから歩いて20分ぐらいのHolland Park(ホランドパーク)には、京都庭園があって、そこにはクジャクがいるらしい。

生のクジャクはなかなか見る機会がないので、ぜひお目にかかりたい。

 

Googleマップを頼りに歩き始める。

途中、スーパーでランチを買うことにした。

イギリスでは「Meal Deals(ミールディールズ)」といって、

メイン(サンドイッチなど) + おやつ(スナックやフルーツ) + ドリンクのセットが£4〜5ぐらいで買えるシステムがあり、主要なスーパーはどこもやっている。

ちょっとカフェでランチしただけでも3000円なんて軽く超えてしまうので、大変ありがたいシステムと言えよう。

 

 

知らない道を初めて歩くというのは、長く感じるものだ。

しかも気温は30℃。ロンドンの曇り空は何処へ、まるでスペインかのような真夏の日差しが肌を刺す。

 

公園に着くと、思ったよりもかなり広く、終わりが見えないほどの並木道が続いていた。もうけっこう歩いたのに、クジャクまではまだありそうだ。

芝生広場があったので、とりあえずそこでピクニックすることにした。

中には、ビキニで日焼けをするお姉さんなどもけっこういる。日照時間の少ない国ならではの光景だ。

 

さっそく木陰を見つけて、日本から持ってきたレジャーシートを広げ、さっき買ったサンドイッチを食べる。

ひとくち食べて「お!」となった。

雑穀の入った茶色いパンに、ハムとチェダーチーズが挟んであるだけなのに、すごくおいしい。

 

ロンドンで食べたものの中で一番おいしかったのは、フィッシュ&チップスでも飲茶でもなく、サンドイッチだったと思う。

日本のコンビニのそれとは比べ物にならない。

もし皆さんがイギリスでお金をかけずに何を食べようか迷ったら、とりあえずサンドイッチにしておけば間違いない、とお伝えしておこう。

 

 

しばらく芝生でゴロゴロしていたら、トイレの心配も出てきた。

帰りにスーパーにも寄りたいし、またアパートまで歩くことを考えたら、この日のクジャクはあきらめるしかなかった。

 

公園を後にして、大きめのスーパーに寄って食料を買い込む。

イタリアの食品が売っているだろうと思い、かつてイタリア留学のとき、ルームメイトの女の子がぱぱっと作ってくれたきのこパスタがとてもおいしかったので、再現しようと思った。

…が、こんなに広い売り場に、オリーブオイルが2種類しか売っていない。

しかも、安売りしている1種類は完売。残っているのは高価だ。

 

──私は、愕然とした。

同じヨーロッパ。

イタリアで暮らしていた頃は、特別「自然派」を意識しなくても、質の良いオリーブオイルや野菜が、ごく当たり前に並んでいた。

だから私は、イギリスはバターがおいしいとは言え、オリーブオイルも棚全面とは言わないまでも、そこそこ売っていると思っていた。

しかしそういえば、アパートに置いてあったのも、サンフラワーオイルにオリーブオイルをちょっと加えた油だった。

塩も、天然の海塩などではなく精製塩っぽかったので海塩を買うことにしたが、けっこう高かった。

 

もしかしたら、EU離脱で関税がかかるようになり、他のヨーロッパ諸国の食糧が入りにくくなったのかもしれない。

少なくとも私が見たスーパーでは、「自然派」はお金を出して選ぶ人のためのもの、という印象だった。

 

しょうがないので、オリーブオイルはあきらめ、パスタとマッシュルーム、ニンニク、そしてバターを買って帰った。

 

結果は惨敗。

普段からバターを使わない私には、ハードルが高かった。

 

 

クジャクにも会えず、パスタは失敗。

それでも、サンドイッチだけは期待以上だった。

 

そういえば、サンドウィッチ伯爵はイギリス人ではないか。

彼がカードゲームの最中、

「手を汚さずに、食べられるものをパンで挟んでくれ」

と頼んだことが始まりだそうだ。

伯爵の名にかけて、イギリスのサンドイッチがおいしくないわけがなかったのだ。

 

 

つづきはこちら

▶︎ ロンドンで、しんどさと感動の間でもがいた11日間 ②

 

 

 

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